今日、スポーツクラブのトイレで用をたしていたら、突然サンタクロースが「ホーッホッホッホ」と大声で笑いながら入って来たんですよ。
心臓止まるかと思いました。
クリスマスには『サプライズがつきもの』なんてよく聞くけど、サプライズ通り越して恐怖でしたね。
これ、映画でよく見る
『サンタクロースの格好したサイコパスが無差別大量殺人していく冒頭シーン』
じゃないですか。
そして
『最初に意味なく殺される大学生役』
が僕じゃないですか。
だから「あ。終わったな」ってすげービビって。
あとこれ新発見だったんですけど『恐怖で漏らす』と言いますが、一定レベル以上の恐怖だと尿って止まるんですね。マジ人体の神秘でしたわ。
そんなこんなで便器の前で僕がマゴマゴしてると、なんかサンタクロースもマゴマゴしはじめて。
うつむきながら「あ…すみません。誰もいないと思って」とか言ってるの。
無人なら奇声あげていいと思っていたことに驚いたんですけどね。
でもそんなの言えないじゃないですか。
だから僕も「あ…大丈夫です」って小声で答えて。
全然大丈夫じゃないんですけどね。まだ心臓バックバクなんですけどね。
まるで初デートの高校生みたいにお互い顔を赤くして下向きながらマゴマゴしてました。
クリスマスキャロルでも『清しこの夜』なんて歌うけど、僕たちの清らかさも相当なもんでしたね。マジHoly Nightでしたわ。
事務所に戻ると男性スタッフからコスプレOKのイベントレッスンがあったことを聞きました。
彼もコスプレして頭にサンタ帽をかぶっています。これからレッスンなのでしょう。
「なんだー。トイレにサンタさん来たからビビったよー」
「あはは。そういや万里さんはコスプレしないんですか?」
「いやー。そういうの似合わないからさー」
「ダメですよ!こういう大変な時こそ、コスプレでクリスマスの雰囲気を出して皆を盛り上げないと!僕らはお客さんの身体だけでなく、心も健康にするのが仕事なんですから!!」
彼の表情はマスクで見えません。でもその目からは仕事に対する、いや、お客さんに対する熱い信念を感じました。
ーーー真っ直ぐな視線が眩しい。これが若さか。
いつから僕は守りに入ってしまったのだろう。
僕にも彼のように信念に燃えていた時代(とき)はあったのに。
イヤだな、歳をとるというのは。
ただ一つだけ気になるのはーーー
「あぁ、そうだね。ところでその格好…」
「コレすか?竈門炭治郎です。鬼滅っす。あ、善逸の衣装が余ってるんで万里さんも着ます?」
いや鬼滅とクリスマスって関係ないよね?つーかそれ絶対にハロウィン衣装の使い回しだよね?サンタ帽かぶってるけど炭治郎コスの方がインパクト強いから!そんな小道具ごときじゃクリスマスの雰囲気が全然出せてないから!なんか無理矢理クリスマスに参加させられたおじいちゃんみたいになってるからね!流行りとかシーズンで世界観を混ぜるのほんと良くないって!コスプレは1+1=2にならないんだわ!お前の仕事に対する信念をそこにも注げよ!
…なんて言えないじゃないですか。
だから「あ…大丈夫です」って小声で答えました。
まぁ、今年のクリスマスはそんな感じで。
それでは、みなさんも素敵なクリスマスをお過ごしください。