今日、スタジオの外で偶然生徒さんとあったので、軽い会話をしていたんです。
会話の内容は
「子供の進路相談で塾に行ったのよー」
と割とマジメな話で、僕もマジメなトーンで返答しようとしたら突然目潰しをされました。
大きめの虫に。
ーーー思い返せば、数え切れないほど虫にたかられた人生でした。
サングラスにアゲハチョウが止まり、ちょっとした仮面舞踏会の参加者みたいになった時は
「僕は花の蜜の香りがするのかな」
と嬉しくなりました。
左胸にクワガタ(オス)が止まり、ちょっとした前衛的なブローチみたいになった時は
「僕はクヌギ臭いんじゃないのか」
と不安になりました。
学生時代にコバエがうるさいから台所で『めんつゆトラップ(コバエを誘引して駆除するトラップ)』を作成しようとして気がつくとちゃんとしたソバを作って食べていた時は
「僕はコバエと同レベルじゃないのか」
と泣きたくなりました。
このように、虫にたかられ、虫に一喜一憂する人生だったので多少の虫には寛容になっていたんです。
だけど眼球に飛び込まれた時はさすがに焦りました。
アイツ(虫)、何の迷いもなく僕の目に飛び込んできましたからね。
「え、オマエの巣穴?」
と思うくらい、僕の左目めがけて一直線に飛び込んできたんです。
目に入る直前に目が合いましたよ、虫と。立派な複眼でした。
でもほら、意外かもしれないけど、僕ってダンサーじゃないですか。
こないだも初めてお会いした生徒さんから
「万里さんのブログ読んでます!万里さんって本当にダンス踊れるんですね!驚きました!」
とキラキラした目で言われました(実話)。
そのセリフを聞いて僕も驚いたからね。お互い様だからね。
話がそれましたが、みんな忘れがちだけど僕の職業はダンサーなんですよ。
そしてダンサーって、世間一般ではカッコいいイメージじゃないですか。
「万里先生のブログまじ面白いんですけど!」
と爆笑してくれる人もいるけど、そして爆笑してくれてるブログの内容って大抵は僕がトラブルに巻き込まれて泣き言を書いてる時だし、ぶっちゃけ爆笑より慰めがほしい時なんですが、本来はカッコいいイメージのダンサーなんですよ、僕。
だからカッコつけました。ダンサーだから。
そしてマジメに話しを続けました。先生だから。
さっきまでスタジオでこの生徒さんに
「ダメダメ!もっと左足を前に!」
なんて厳しく指導していましたからね。僕にも指導者としての威厳があるんでね。
ここでたかが虫ごときで「目があ!目があぁ!!」とうろたえていたら、先生としての面目丸つぶれじゃないですか。
そんなムスカみたいなダンサーのレッスンなんて誰が受けたいのかっていう話ですよ。そんなの即バルスじゃないですか。
「あぁ。大変ですよね、子供の進路って…」
なんて平静を装って会話を続けたんですが、相手が大爆笑で会話どころじゃないんです。
はい。全然装えてなかったみたいです、平静。
装ったつもりが超乱れてたっぽいです、平静。
でもね、爆笑されるのはいいんですよ。
いや、本当は良くないけど、100歩譲って、爆笑は許します。
でも爆笑の前に心配じゃない?
カッコいいダンサーの目に虫が飛び込んだら真っ先に心配じゃない!?
相手はすっかり「先生、虫が目に入ってんのwww待って、お腹痛いwww」と会話不能になったので解散になりました。
そして帰り道に思い出したんですよね。
僕が泣き言ブログを書いていつも爆笑してるの、そういやこの人だったんです。
今日の帰り際も
「目に虫が突っ込んだの面白いからブログに書いてくださいよ。絶対に爆笑ですよwww」
と言ってましたからね。
ていうかブログじゃなくても爆笑してるじゃねぇか。
モヤモヤした気分の帰り道、駅のホームで1匹の羽虫にたかられました。
「バルス」とつぶやいたら2匹に増えました。
「こんなに虫に好かれるんならムスカよりナウシカだな、僕」
と思うと同時に
「もしかして僕は腐海の臭いがするんじゃないか」
と新たな不安が頭をよぎったのです。