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僕と猫と、それから、それから。

可愛いネコの写真
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今日、とてもいい夢を見ました。

今回はその内容を皆さんにお話したいと思います。

この夢のお話をする前に、僕のネコの紹介をしなければなりません。

名前は大河(タイガ)さん。

このブログで何度も登場している、めっちゃ強気なネコです。

男らしい名前だけどメス猫なんですよ。

15年前のみぞれ混じりの雨が降る深夜、ダンボール箱の中で鳴いていたのを拾ったんです。

それから大河はスクスクと成長し、強気で、ワガママで、食いしん坊で、可愛くて、寂しがり屋で、そのくせに甘え方が不器用な可愛いトラ猫になりました。

『ネコ』という華奢でしなやかなイメージとは程遠い、シッポが短くてポッチャリした体型。

しかしその姿は何をしていても愛おしくて、見てるとつい

「おまえは本当に可愛いね」

と無意識に声をかけてしまうほどでした。

大河は僕の声が聞こえても、返事はおろか振り返りもしません。

その代わり、毎回短いシッポを2回、縦に振るんです。

その仕草はまるで

「当然でしょ」

と言ってるようでした。

とても人間らしいネコだったんです。

今年の2月7日。

大河は永眠しました。大往生です。

僕をはじめ、家族はワンワン泣きました。

だけど二度と起きないその寝顔すら愛おしくて、小さな箱の中で冷たくなっている大河を撫でながら

「おまえは本当に、可愛いね」

と声をかけました。

短いシッポはもう動きませんでした。

「今まで付き合ってくれてありがとうね」

と感謝を伝えました。

だけどやっぱり、大河のシッポは動きませんでした。

僕らはもっと、ワンワンと泣きました。

そして今日、夢を見ました。

夢の中で僕は階段を延々と登リ続けていました。

なぜか『夢を見ている』という自覚があり

「なんでこんな疲れる夢を見なきゃいけないんだ」

と文句を言いながら階段を登りきると、そこには部屋がありました。

扉を開けると、部屋の真ん中には小さいベッドが1つだけ置かれていました。

ベッドの上にモゾモゾとうごめく物体。

見覚えがある、茶色の丸っこいシルエット。

そこには大河が丸くなって寝ていました。

大河は僕に気がつくと目を丸くして

「え?なんでアンタがここにいるのよ」

と言ってるかのような驚いた顔をしてから、再び丸くなりました。

「いやそこは飛び込んでこいよ!」

と言いそうになりましたが

(ここで興奮したら目が覚めてしまう)

と、なんとか平常心を保ち、ゆっくりとベッドに向かい大河の横に静かに座りました。

大河は僕をチラっと見ただけ。再び背を向けて眠り続けます。

恐る恐る大河の背中を撫でると、夢とは思えないほどはっきりとした毛皮の感触がしました。

瞬間、色んな感情がこみ上げてきて泣きそうになりましたが、夢から覚めないように必死に感情を抑えました。

「ーー大河、おまえは本当に可愛いね」

しばらく撫でているうちに、いつものクセでつい話しかけてしまいました。

すると大河がムクっと起きて僕に振り返ったんですが、その顔が

めっちゃ不機嫌そうな顔

だったんですね。

その顔があまりもオカシクて思わず吹き出してしまい

「なんでだよ!」

我慢できずにツッコミを入れたところで目が覚めてしまいました。

目が覚めてしばらくボーッと天井を見つめていましたが、徐々に夢の内容を思い出して笑いがこみ上げてきました。

だって、大好きなペットと夢の中で再会したのに、めちゃくちゃ不機嫌な顔されたんですよ。

しかも生前もそんな感じでしたからね。

(アイツ、本当に何も変わってなかったな)

ついに堪えきれず、声を出して笑ってしまいました。

だってね。

僕が

「大河、おまえは本当に可愛いね」

と言った時、大河は不機嫌そうな顔してたけど、

やっぱりシッポを振ってたんですよ。

短いシッポを2回、縦にピッピッて。

聞こえてないふりしてて、しっかり聞いてたんですよ。

そういうネコだったんですよ、大河って。

強気で、ワガママで、食いしん坊で、可愛くて、寂しがり屋で、そのくせに甘え方が不器用で、

世界一可愛いトラ猫のままだったんですよ。

ーー気がつくと涙がボロボロこぼれていました。

いつの間にか笑いながら泣いてたんです。

枕に顔を埋めました。それでも涙は止まりませんでした。

泣いてた理由は悲しかったからではありません。

むしろ逆で、嬉しかったんです。

(お別れの時も、どこかで大河は僕の声を聞いてシッポを振っていたんだろうな)

って。

(感謝の言葉も届いていたんだろうな)

って。

そう思うと、涙が止まらなかったんです。

「ーーふぅっ」

久しぶりに泣いたらスッキリしました。

ベッドから起きて部屋の窓を開けると、吹き込む風には夏のニオイが混ざっていました。

夢を思い出しながら、まだ毛皮の感触が残る右手を見つめます。

「大河、可愛かったな」
「相変わらず丸かったな」
「毛艶も良かった」
「撫でると目を細めるクセも変わらなかった」

「それから、それから…」

そうつぶやくと、どこかでシッポを振る音が聞こえた

…気がしました。

可愛いネコの写真
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