今回はこのブログを通して、僕の目標と現段階における途中経過を報告したいと思います。
いつになく長い内容ですが、プロダンサーの目標を知ることが出来る貴重な機会なのでぜひ読んでください。
「万里さんの目標ってなんですか?」
この質問、みんなからよく聞かれるんですが、僕の最終目標は猫なんです。
率直にいうと猫になりたいんですよね。
これは猫好きをこじらせてるワケでも、お得意の動物大好きアピールでもなく、エンターテイメントの終着点は猫だと本気で考えているからです。
だって猫ってすごくないですか?
あいつら全然仕事しないんですよ。
現代でネズミなんてもう捕まえませんからね。
ネズミ捕まえるどころか瀕死のセミとかヤモリとかGとか捕まえてきて余計な仕事増やしますからね。
なのに可愛がられて、餌ももらえるんですよ。
しかも野良猫ですら写真集出しちゃうんですよ。
人間なら写真集出すのメチャクチャ大変じゃないですか。
新人アイドルなんかは写真集を売るためにテレビ番組やショッピングモールなんかで笑顔で営業して
「この苦労を乗り越えて、みんな有名になったんだ」
と頑張るじゃないですか。
営業先で飲めないお酒を無理やり飲まされた帰り道、星が見えない夜空を見上げて
「おっかぁの作ったせんべい汁、飲みてぇなぁ…」
とかつぶやいちゃうじゃないですか。
そして頬を一筋の涙が伝い落ちるじゃないですか。
なのに猫は無名でも営業なしで写真集が売れちゃう。
無愛想なのに「カワイイ」とか褒められちゃう。
なぜ、ここまで猫は人間に愛されるのか。
それは猫が『エンターテイメントの最終形態』だからです。
ヒゲの先からしっぽの先まで、すべてのパーツが見ていて飽きないんです。
動いてる姿はもちろん、座っていても寝ていても、なんならトイレしてる時ですら見ていて飽きないんです。
どの身体の部分を24時間どの瞬間に切り取っても、見ている人を喜ばせちゃうんです。猫って。
もう『生きてるだけで舞台が生まれる』と言っても過言ではありません。
そしてコレが『エンターテイメントの最終形態』なんです。
プロダンサーなら、見た目や踊りで人を喜ばせるのは当然のことですよね。
例えるなら、ラーメン屋の店主がラーメン作れるのと同じですから。
だけど僕はその先、何をしても、むしろ何もしていなくても見ている人を喜ばせるレベルになりたいんです。
猫のような『エンターテイメントの最終形態』にたどり着きたいんです。
人間でいうと、マイケル・ジャクソンいるじゃないですか。
彼が猫、つまり『エンターテイメントの最終形態』ですよね(ほんと紛らわしいんですが、マイケル・ジャクソンとホワッツマイケルをかけてるわけじゃありません)
昔、マイケルがライブで『登場してからしばらく動かない』という演出をしたんです。
ステージに立って微動だに動かないんですよ。ダンスもしないし歌いもしない。サングラスしたまま立ってるだけ。だけどそれがメチャクチャかっこよくて。
これ、DVDを何度見てもうまく説明出来ないんですが、なぜかマイケルから目が離せないんですよ。
まだ一曲も歌っていないのに観客は失神して何人も担架で運ばれて行きました(いつもこのシーンを見る度に『この失神して担架で運ばれた人が医務室で目を覚ました時にライブ終わっていたら、ショックのあまりその場でもう一度失神して二度と目を覚まさないんじゃないか』と想像して胸が痛くなります)
踊ってなくても立ってるだけでカッコいい。
その存在がそこにあるだけで『舞台』が成立する。
それがマイケル・ジャクソンであり、猫であり、僕が目指している『エンターテイメントの最終形態』なのです。
ちなみにカワイイの代表格として『パンダ』が挙げられますが、僕から見たら彼らは、まぁカワイイですが、猫師匠の足元にも及びませんよね。
だって以前動物園に見に行った時のパンダ、ずっと寝てたんですよ。
それ見てたお客さん達は
「全然動かなかったね」とか「残念だったね」とか言っていたんです。
それを聞いて僕は心で「だよな」でした。
コレが猫師匠だったら、ずっと寝ていたとしてもお客さん達は
「全然動かないの超かわいいんだけど!」とか「今日来てよかったね!」とか
「俺の遺影はこの猫の寝顔にするわ」
と満足して帰るはずなんですよ。
愛くるしい仕草でお客さんを満足させるのは簡単なんですけどね、寝ているだけでもお客さんを満足させられるのが猫師匠でありエンターティナーなんですわ。
そういう点では猫師匠の圧勝ですよ。全てにおいて猫科は百獣の王ですよね、ホント。
そんなわけで、僕は猫師匠を目標に『全身どのパーツもカッコいい』『踊ってなくても魅力的』を目指して日々高みを目指し努力しているんです。
ーーーまぁ、ここまでが僕の目標である『エンターテイメントの最終形態=猫』の解説です。ではその進行状況はどうか。これから途中経過を報告します。
先日、生徒さんに「万里さんて膝から下がカッコいいよね」と褒められたんですよ。
正確に言うと『後ろから見た時のふくらはぎから足首にかけて』がカッコいいらしいんですが、これって全身の総面積に対してカッコいい部分が極端に少ないんですね。
現段階では全然目標に到達していないんですけど、まぁでも『千里の道も一歩から』って言いますし、まずはこのパーツから徐々にカッコいい部位を全身に広げて最終的に猫師匠のような『どこを見ても飽きない身体』になればいいと思っています。
ちなみに2年前にも同じ生徒さんから同じセリフを頂いているんで、僕のカッコいい部位が全然増えていないんですけど、これはもう長期計画ということで。90歳までには全身カッコよくなるんでね。
そしてその翌日。
別スポーツクラブのスタッフにこの話をしたんです。
僕としては「その人の目は節穴ですか!?万里さんは全身カッコいいですよ!」的なコメントを期待していたんですが
「わかる。さらに言えば万里さんの脚は踊ってる時に輝く」
と共感していました。
「えっと、それはレッスン中の僕がカッコいいということ?」
「いや、デモンストレーションとかフリを踊ってる時だけですね」
「それだと数分くらいしかカッコいい時間ないんだけど」
「はい。でも数分間だけホントにカッコいいです。スーパーマリオのスター取った時みたいですよ」
コレってつまり24時間の中でカッコいい時間が極端に少ないという事なんですね。
僕の目標は『踊ってなくても魅力的』なので、これもまた全然達成できてないんです。
「今はカッコよくないのかよ」
と冗談ぽく聞いたら
「今はそこまでカッコよくないです」
と即答されました。
あまりにも清々しい返答だったので「あははコーイツゥ☆」とか言いながら殴りかかってやろうと思いましたが、グッと踏みとどまりました。
そしてクラブからの帰り道。
「まだまだ猫師匠には遠いなぁ」とつぶやきながら帰っていると居たんですよ、猫師匠が公園に。
3匹の猫がベンチで寝ていたんですが、その姿がやっぱり可愛くて「これは勉強のチャンス!」とばかりにベンチにそ~っと歩いていったんですね。
そしたらセミが止まったんですよ。
僕のマスクに。
みんなマスクにセミ止まったことあります?
このブログの読者でそんな経験ある人がいたとしたらとんでもない確率だと思うんですが、マスクにセミが止まるとメチャクチャビビるんですよね。
パニックになって
「うおおオオォォォ雨うえ打てだgなg!kl」
って言葉にもならない大声を出して暴れましたからね。
猫たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていき、少し離れたところで一部始終を見ていた数名の工事現場の人達が笑っていました。
ーーーでは、これらを踏まえて途中経過を報告させていただきます。
まだ猫師匠のように『すべてのパーツが見ていて飽きない』『動いてなくても魅力的』は達成出来ていません。しかし現段階では『生きてるだけで舞台が生まれる』だけは達成できたみたいです。
喜劇でしたけど。
これをもって僕の目標と途中経過の報告を終わらせていただきます。
ご静聴、ありがとうございました。