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万里、泣く。

ハウスダンスインストラクター万里の日記
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6月20日、東京、晴れ。

鼻の頭に良性の腫瘍(脂肪腫)が出来たので、このブログでもお馴染み、名医の女医さんの病院で摘出手術をすることになりました。

僕は腫瘍のできやすい体質なので今までに何度も摘出手術をしているんですが、いまだに手術のたびに緊張しては泣いています。

しかも今回は鼻ですよ?

鼻なんて言ってみれば『人体の弱点』じゃないですか。

そんなところに注射針を刺したり切ったり縫ったりなんて絶対にムリでしょ。

今回こそ「おうち帰るー!」って本気で泣くのかもしれないな……

そう思いながら手術台の上で仰向けになり、小刻みに震えていました。

「それじゃ手術をはじめま……万里さん、また緊張してるんですか?」

「えぇ、緊張してます。何回やっても全然慣れません。すげえ怖いのです……」

「大丈夫ですか?そうだ。リラックス出来るように、少しお話ししましょうか」

僕の気を紛らわせようとする先生。なんて優しいのでしょう。

「万里さんのお仕事はダンサーでしたよね?」

「はい」

「こないだテレビでK-POPを見てたの。そしたらね」

「そしたら?」

「みんな頑張って踊っていたわ」

「なるほど。みんな頑張って踊っていたんですね。それから?」

「ん?それだけよ」

シンと静まり返る手術室。僕の顔を見てニコリと笑う先生。

「さぁ、もう大丈夫ね。鼻に麻酔しますよー」

ぜんぜん大丈夫じゃないよ。

むしろ変な緊張感が増したよ。

返事する間もなく目の上からタオルをかけられ、すぐに鼻の頭に痛みが走りました。

鼻に注射するなんて人生初。想像以上に痛くてビックリしました。

「あれ?万里さん、ちょっと待ってて」

麻酔が効いて鼻の感覚が無くなってきた頃、いつも冷静な先生が急に慌てだしました。

「先生、どうしたんですか?」

「いえね、麻酔が漏れてたみたいで顔の周りがビショ濡れになっちゃったの。うわ、マクラまで濡れてる。ちょっと待ってね」

緊張で気が付きませんでしたが、言われてみれば顔中が濡れている気がします。

先生は「おかしいなぁ」と呟きながら僕の顔をガーゼで拭いてくれました。

「念の為タオルの下も拭きますね。ちょっと眩しいですよ」

タオルを持ち上げた瞬間、先生の口から信じられない言葉が飛び出しました。

「なんだ。濡れてたの、麻酔じゃなくて万里さんの涙だったのね」

「え?何言ってるんですか先生。僕、泣いてなんか……」

そう言いながら目元を拭うとビッショリと濡れていました。

自分でも気づかずに泣いていたようです。

こんなの人生で初めて。無意識でこんなに涙が出るもんなの?もしかして僕の身体に何か異常でも起きてる?超怖いんだけど。

「心配しなくていいのよ。人間は極度に緊張したり、逆にその緊張がほぐれると涙が出るものなの」

不安な顔をしていると、先生がゆっくり説明してくれました。

「それじゃ気持ちが落ち着くまで、少しお話ししましょうか」

僕の気を落ち着かせようとする先生。なんて優しいのでしょう。

「東京も梅雨入りしたわね」

「はい」

「梅雨って雨や曇りばかりで晴れが少ないでしょ?だから」

「だから?」

「ジメジメしてイヤよね」

「確かに、ジメジメしてイヤですよね。それから?」

「ん?それだけよ」

シンと静まり返る手術室。僕の顔を見てニコリと笑う先生。

「さぁ、もう大丈夫ね。手術再開しますよー」

全然大丈夫じゃないよ。

むしろ涙の量が増したよ。

ーーーそんなこんなで手術は無事終了。現在の顔(というか鼻)はこんな感じです。

鼻の手術が終わった直後の表情

へへ。泣いたから目が赤いや。

全国の万里ファンの皆さま、ご心配をおかけしました。

抜糸は火曜日。

また泣くと思いますので、その時はまたブログでご報告させていただきます。

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