今の話

ノンアルコールで乾杯を

ハウスダンスインストラクター万里の日記

つい先日、誕生日を迎えました。

こつして無事に歳を重ねることができるのも、いつも応援し、支えてくれるあなたのおかげです。

本当にありがとうございます。

僕、いつも誕生日には神様にお願いするんですよ。

「この一年も素敵な出会いや出来事がありますように」

って。

毎年、神様は想像以上にこのお願いを叶えてくれて。あなたと出会えたのもそのおかげなんですけどね。

今回も誕生日のお願いをした翌日に素敵な出来事がありました。さすが神様、仕事が早い。

今日はその時のお話しをしようと思います。

「あの、ちょっといいかしら」

駅からの帰り道、水を買おうとコンビニに立ち寄るとドリンクの冷蔵庫前で70代後半くらいの女性に声をかけられました。

「どうしましたか」

「ノンアルコールのビールって、どれか分かる?」

ああ、ノンアルコールが買いたくて困っていたのか。

ちなみに僕は結構な酒飲みですがノンアルコールビールだけは好きになれませんでした。

だって缶のデザインから味まで、なんかビールの偽物っぽい感じがして。

運転する人や禁酒中の人が飲むと聞いたけど、こんな偽物飲むくらいなら炭酸水の方がマシじゃないか。いったい『ノンアルコールビールが飲みたい!』って思うのはどんな時なんだよ。

テレビCMを見る度にそう思っていました。

「コレとコレ、あとコレがノンアルコールですよ」

「そうなのね。旦那に言われて買いに来たんだけど、どれも同じに見えちゃって」

ビールとノンアルコールビールの見た目の違いって分かりづらいですよね、そう言いながら缶を渡すと女性はデザインをじっと見つめてひと言。

「なんかビールの偽物っぽいデザインね」

僕もそう思います、と笑ってしまいました。

「ウチの人ね、ずっと入院してたんだけど今朝退院したの。そしたら帰宅そうそうビール飲みたいって。ノンアルコールでもいいから飲みたいってウルサイのよ。お医者さんはノンアルコールなら大丈夫って言うんだけど」

旦那さん、長い入院生活から解放されて嬉しいのでしょう。

「朝から『5リットルは飲む!』って張り切っちゃって」

いや5リットルは大丈夫じゃないと思うよ。また入院しちゃうよ。

「ふふ。ごめんなさいね、あなたも忙しいだろうに引き留めちゃって」

「いえいえ。退院おめでとうございます。ただ、あまり飲み過ぎないよう、お大事にしてくださいって旦那さんにお伝えくださいね」

つい会員さんと話す時のノリで返してしまいました。初対面の人にそんな事を言われても困っちゃいますよね。

「あなた、お名前は?」

「あ、万里と言います」

「万里さん、ね。旦那に伝えておくわ」

旦那さん絶対に「え、だれ?」って困惑すると思うよ。

いや僕から『伝えて』と言ったんですけどね。

それじゃ、と会釈して僕は冷蔵庫から水を取ってレジへ。

会計を済ませた後、冷蔵庫の方を見ると女性はまだ缶を手に悩んでいるようでした。

まだ何か困っているのかなと近寄ろうとしましたが、その表情を見てやめました。

だってね。

両手にノンアルコールビールの缶を持ちながらスゴく笑顔だったんですよ。

遠目からでもわかるくらい、ニコニコしてるの。全然困ってなさそうなの。

旦那さんが退院したのが本当に嬉しいのでしょう。

この日をずっと待っていたのでしょう。

きっと彼女は「どれが美味しいのかな」「あの人が喜ぶのはどれかな」そんな事を考えながら悩んでいたのかもしれません。

うまく言葉では説明できませんが、その悩んでる姿はとても幸せそうで、その時間はジャマしちゃいけないような気がして。

なんだか僕まで幸せな気分になってコンビニを退店しました。

帰り道、水を飲むと女性の笑顔を思い出しました。

今夜はノンアルコールビールでパーティーなのかな。きっと楽しいだろうな。旦那さん5リットルも飲まなきゃいいけど。

「ノンアルコールビール、飲みたいなぁ」

そんなことを考えていたら無意識に言葉がこぼれました。

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