僕がなぜハウスダンスを教えているか。
それはみんなをステージに立たせたいからでも、モテモテになってほしいからでもありません。
僕はみんなに街の平和を守り、誰かの人生を支え、そして多くの命を救ってもらいたいから心を鬼にしてマニアックなハウスダンスを教えているのです。
「何をそんな大げさな」と感じるかもしれませんが、ホントに、キレイ事ではなく僕はそう想像しながらレッスンしています。
きっとみなさんも「物事には想像力が大切」と耳にしたことがあると思いますが、この想像力とは大きく分類すると
①何かを生み出す時に完成形を想像する力
②自分の行動によって引き起こされるであろう結果を想像する力
の2つに分けることができます。
僕がレッスンする時は後者、②の想像力でみんなにレクチャーしています。
ということで、今回のブログでは僕が普段どんな想像をしながらレッスンしているのかを3つのケースに分けて紹介します。
かなり複雑かつ深い内容なので文章が長くなりますが、レッスン中のプロダンサーの頭の中を知る貴重な機会なので、ぜひ皆さんも想像力を働かせて読んでください。
【想像ケース:①】
あなたは僕のレッスンで難しいステップが出来たので、自分へのご褒美に帰りにコンビニでアイスを買うことにしました。
普段は無言で商品を受け取りますが、この日は気分が良くて何気なく店員さんに「ありがとう」とお礼を言い、それを聞いた店員さんも気分が良くなって次に来たお客さんに「ありがとうございました」と笑顔で丁寧な接客をしました。
実はそのお客さん、プライベートで不運が重なり自暴自棄になってこれから重大な犯罪を犯そうと計画していたのですが店員さんの接客と笑顔で心が洗われて改心したのです。
その結果、街の平和は今日も守られました。
ーーこれは僕のダンスがキッカケで生まれた小さな善意が連鎖のように大きくなり、最終的に大事件を未然に防いだという想像です。
僕はこれを「善意のピタゴラスイッチ」と呼んでいます。
事件は未然に防がれたので誰もあなたや僕に注目しませんが、僕たちの小さな善意は確実にピタゴラスイッチの歯車になり平和を守り続けます。
たかがハウスダンスですが、そんなハウスダンスから善意のピタゴラスイッチが始まることを想像しながらレッスンしているのです。
【想像ケース:②】
あなたは何をやってもうまくいかない自分に嫌悪感を抱いていましたが、僕のレッスンでダンスが踊れるようになり、次第に自分に自信がついてきました。
そしてその成功体験を元に一生懸命勉強して将来は教師になります。
ある日の放課後、1人の生徒が「自分は何をやってもダメで、生きてる意味がわかりません」と相談に来ました。
あなたはその生徒に自信のなかった過去の自分を重ね、ダンスの話をして生徒を励まします。
そしてそれがキッカケであなたはダンス部を立ち上げて顧問をすることになるのです。
あなたの熱心な指導のもと、部員はどんどん増えてやがてダンス部は全国大会で優勝します。
優勝の記念写真の真ん中には、あの日相談に来た生徒が涙でクシャクシャの笑顔でトロフィーを抱えて写っていました。
そして、あなたはもっと涙でクッシャクシャで、もっともっと笑顔で写っていたのです。
ーーこれは僕のレッスンで得た成功体験や失敗体験を自分のためだけでなく、他人のためにも生かされたという想像です。
僕は「成功も挫折も全て共有できる」と考えています。
僕がハウスダンスを教える際にコツだけでなく様々な注意点をあげたり自分の失敗談を語るのは全てこの考えに基づいています。
自分が苦しんだからこそ、他人の苦しみに寄り添うことができる。
自分が傷を負ったからこそ、他人の傷の正しい手当てができる。
そしてそれらを乗り越えたからこそ、他人とともに成功までの険しい道のりを共に歩くことができるのです。
きっとこの生徒もあなた同様に、他人の苦しみに寄り添い、傷の手当てをし、共に成功の道を歩ける素敵な人間に成長することでしょう。
誰かが僕のダンスで体験した成功も挫折も、いつかそれを必要とする別の誰かと共有してもらえればいいなと想像してレッスンしています。
それでは最後の想像ケースです。
【想像ケース:③】
あなたはスーパーに買い物に行きました。
すると突然そのお店が強盗に襲われます。
お店のシャッターは全て降ろされ、犯人はあなたを含む人間全てを人質に立て篭もりを始めました。
やがて外からパトカーのサイレンが聞こえ、警察と思われる人間の声が拡声器を通して聞こえてきました。
「お前は完全に包囲されている!大人しく投降しろ!」
その声に犯人は逆上し「もう終わりだ!ここにいるヤツら全員を道連れにしてやるからな!」とジャケットを脱ぎます。
彼の身体に巻き付けられた無数のダイナマイトを見て店内がざわめき出し、中にはすすり泣く声すら聞こえました。
「ただし…」
犯人は言葉を続けます。
「ただし、この中にハウスダンスを踊れるヤツがいたら話は別だが、な」
店内が静まり返る中、1人だけ手をあげてる人間がいます。
それは…あなたです。
あなたは胸を張りゆっくりと犯人の前まで歩き、深呼吸を3回してから踊り始めます。
その動きは、そう。
僕の教えたハウスダンスでした。
あなたのダンスに感動した犯人は投降します。
のちに警察の取調べ室で犯人はこう語りました。
「投降した理由?あぁ、刑事さん。あんた、本物のハウスダンスを見たことあるかい?心が震えるようなヤツさ。俺の計画は完璧だったんだ。あんな素敵なハウスダンサーさえいなければ、完璧だったんだよ」
犯人はなぜか目に涙を浮かべていました。
しかしその顔からは計画が失敗した悔しさが微塵も感じられません。
彼の顔は、むしろ素敵なショーを見たような、ハッピーエンドの映画を観終わったような顔だったのです。
ーーこれは、ただ単に僕の行き過ぎた想像です。
めっちゃ疲れてる時によく想像するケースなんですが、きっと誰かに話したら「それは想像力っていうより妄想がヤバいことになってるんで別室でカウンセリング受けましょうね」と言われるヤツです。
この想像が脳裏をよぎった時はみんなに「今日も楽しかったよ!」と言われたくてレッスンしています。
ていうか今回のブログを書いてるかなり最初の段階から気がついてたんだけど、僕がハウスダンス教えてるのはみんなに楽しんでもらいたいからだ。
いつもみんなの笑顔を想像しながらレッスンしてたわ、僕。
ということで、僕がハウスダンスを教えている理由は「みんなをステージに立たせたいからでも、モテモテになってほしいからでもなく、笑顔になって欲しいから」でした。
ごめん、すごく長く書いてたけどめっちゃ短い文でまとめられたわ。
なぜ最初の方で理由に気がついたのにわざわざ長い文章にしたかって?
それは、これを読んでるあなたの笑顔を想像したからです。
やっぱり「誰かの笑顔を想像する」というのは「行動力の最大の源」ですね。