先週、白金台スタジオに水筒を忘れてきたんです。
中身はレモン風味のBCAA(アミノ酸)が半分ほど入った状態。
そして今日、一週間ぶりにスタジオへ行くとデッキの上に水筒がありました。
回収のため仲の良いスタッフ(A君)に事情を説明します。
「ごめんね。デッキの上の水筒、僕のです。先週忘れちゃってさ」
「やっぱり万里さんのでしたか。ところで聞きたいんですけど…」
僕の右手の水筒を指差すA君。
「水筒で納豆汁でも飲んでるんですか?」
「飲んでないよ。なんで?」
「昨日、中身が気になってフタをあけたんです。そしたら中身が納豆クサくて」
得体の知れない水筒のフタを開けるとかチャレンジャーすぎる。
「1週間近く放置してたからクサくなっちゃったんだ。中身はBCAAだよ」
水筒を振るとチャポチャポと音がします。中身はそんなニオイなのか。これから洗うことを考えると気が重くなりました。
「納豆風味のBCAAですか」
「流石にそんなフレーバー無いよ」
「和風シリーズならあるでしょ?」
「和風でも絶対ねぇよ」
ハードな運動中に納豆ガブ飲みなんて日本男児にも程がある。
「水筒の中身はレモン風味のBCAAね」
「レモン風味が1週間で納豆風味…。錬金術ってヤツですか」
「ただの発酵だろ」
そんな錬金術はニュートンもビックリだよ。それにレモンが納豆になるなら錬金術よりも黒魔術だからね(※万有引力でお馴染みのアイザック・ニュートンは熱烈な錬金術の研究者でもありました)
「そうか」
突然、納得したようにポンと手を叩くA君。
「どうしたの?」
「納豆やキムチなんかの発酵食品ってアミノ酸が豊富じゃないですか。だからアミノ酸の塊であるBCAAも発酵しやすく、ニオイも納豆っぽくなるんですね」
「A君アタマいいね」
「つまり発酵したBCAAは健康に良いって事ですよ。飲んでみてください」
「おまえバカだろ」
「大丈夫。BCAAのアミノ酸がさらに発酵されてスーパーアミノ酸になってるはずです。身体に悪いワケありません」
彼の『大丈夫』の根拠はなんなのでしょう。
「だってウマミ成分もスーパー・ウマミ成分になってスーパーウマ(美味)くなってるはずだし」
説明が全然『大丈夫』を保証していません。
「じゃあA君コレ飲む?」
冗談ぽく水筒を差し出すと、A君は急に真顔になり即答しました。
「イヤですよ。病気になったらどうするんですか」