今日、電車に座ってた時の事なんですけどね。

目の前に立った外国人男性のチャックが、

全開

だったんですよ。

「歩いてて自然に開いた」とか「締めたつもりがアマかった」なんてレベルじゃなくて、ビックリするくらい、全開なんです。堂々としたもんです。

そして、電車が揺れるたびに僕の眼前に迫ってくるワケです。

チャック全開の股間が。

男性は大きなリュックを背負っているので、明らかに旅行者。

教えた方がいいのか、悩みました。

もしここでチャック全開を教えたら、彼は絶対に「うわー、旅先で恥かいたわー」となり、今夜はベッドの中で悶絶するでしょう。

僕も中学時代、修学旅行で奈良に行った時にお土産屋さんのオジサンから

「キミ、チャックがご開帳だよ」

と冗談混じりに教えてもらって大恥かいた経験があります。

「えぇ、ご本尊ですから」と返すこともできましたが、そんな事したら残りの中学生活でのあだ名が

奈良の大仏

になるのは火を見るよりも明らかだったので、「あ、ありがとうございます」と顔を真っ赤にしてチャックを上げました。

その夜は、やっぱりホテルの布団の中で悶絶しましたからね。

———話を戻しましょう。

しかし、もしここで彼に教えなければ、彼は気がついた時に

「マジかよ、今日ずっとチャック全開だったの?東京タワー登った時も、浅草寺でお饅頭食べた時も、秋葉原のメイド喫茶で『萌え萌えキュンキュン♡』と言ってた時も、ずっと全開だったの?オレのチャック」

ってなるじゃないですか。

「どちらがダメージ少ないんだろう」チャック全開の股間をぼんやりと眺めながら考えてました。

すると僕の視線に気付いたのか、彼が「What’s up?(どうしたの?)」と聞いてきたんです。

向こうから声をかけられると思っていなかったので、頭の中が真っ白になりました。

しかし、黙ったまま誤解されてトラブルになるのもイヤだったので、ここはもう「チャックが開いてますよ」って教えようと決心しました。

…決心したんですが、「チャックが開いてますよ」って、英語でなんて言うの?

そもそも「チャック」って英語?

「Your chuck is open」でいいの?

いや、確かチャックは「巾着」が元になっている和製英語なんですよね。何かの本で読んだ記憶があります。

てことは、チャックでは通じないでしょう。

僕の顔を覗き込む彼(チャック全開)

焦るな。落ち着いて考えろ。

自分に言い聞かせた、その瞬間。

閃いたんです。

日本ではチャックのことを「社会の窓」って言うじゃないですか。

ならばチャックも「The window」で通じるはずだ、と。

正確な表現じゃないかもしれません。

でも、股間を指さして「Your window is open!」と言えば「やべ。もしかしてチャック開いてる?」って伝わるハズなんです。

彼の目を見て、チャック全開の股間部分を指さし、僕はハッキリと言いました。

「Open your mind!(内なる自分を解放しろ!)」

テンパって思い切り間違えたんですね。

絶対に、チャック全開のヤツに向かって言っちゃいけないセリフだと思うんですよ。

下手したら彼のご本尊が出てきちゃいますから。

しかし、想いは時として言葉の壁を超えるもので、彼はチャック全開の自分の股間を見て

「Oh, Thanks」

と小声で言い、チャックを上げて、

もう一度全開まで下げて、

僕に満面の笑顔でウィンクして、

そして何事もなかったかのように、再び吊り革を掴み直しました。

僕の目の前には、相変わらずチャック全開の股間部分。

コイツ、最初からワザと内なる自分を解放していたんですね。