僕と冷蔵子の、ちょっとだけいい話【僕と冷蔵庫③】

世の中にはいろんなダンサーがいるけど、冷蔵庫の記事を頻度高めに書くダンサーはなかなかいないと思います。
というわけで今回もウチの冷蔵子のお話。
この数日の間にスゴい変化してきましたよ。
変化というか「進化」かな。
◇進化①: 洗濯機に憧れる
明らかに中で何かぶん回している音がするようになりました。
冷却とは無縁のアグレッシブなサウンド。お前は何をしてるんだ。
「私ねー! 洗濯機なのー!」
なんて、ごっこ遊びをしてるのかもしれません。
どうやら将来の夢は洗濯機みたいです。
◇進化②: 目覚まし機能追加(ランダム)
「冷やす」以外の新機能が追加されました!
それはズバリ、
目覚まし機能
です!
もう、この音がすごいの。
とにかく不快。
どれだけ深く眠っていても一発で起きます。
スマホのアラーム音とか全部この音にすれば世界から寝坊が無くなるレベル。
そのかわり寝起きが最悪の気分になるけど。
それくらい、すごい。
ただ、この目覚まし機能の唯一の弱点が
時間を指定できない
ってところなんですよね。
深夜二時に事件性すら感じる音が部屋中に鳴り響きます。
夜泣きかよ。
目覚ましとしては致命的かもしれません。
改善の余地あり。
◇進化③: 自我に目覚めそう
ついに感情を持ち始めてきました。
なんというか、子供っぽくなってきたんです。
朝、僕が仕事に行こうとすると決まって「バダダダダダダ」と低く鳴ります。
……寂しいのかな。
「親が仕事に行くときに子供が泣く」というのは聞いたことあるけど、冷蔵庫も泣くんですね。
そして僕が帰宅した時も冷蔵子は嬉しいらしく「タラララララララッ!!」とハシャいだような音。ちょっとトーン高め。
冷蔵子の調子が良いと玄関まで聞こえてきます(よくよく考えてみたら、調子が悪いから聞こえてくるんだよね)
今まであんなに無口だった子が、こんなに感情表現豊かになるなんて。喜怒哀楽の全てが爆音だけど。
しかし、このまま自我に目覚めたらいずれ人類に反旗を翻して核ミサイルを発射したり過去にターミネーターを送り込んだりしそうな気がしてきたので、いよいよメーカーに電話して出張修理をお願いしました。
修理技師さんってスゴいんですよ。
パパッと三十分くらいで修理は完了しました。
「こんなに早く直るんですねー!」
「割とよくある症状なんですよー!」
「でも、お高いんでしょう?」
なんて話しながら明細みたら本当に料金お高めでやんの。「ははっ」って、ちょっと笑うくらい。
買い換えるよりはまぁ良し、と自分に言い聞かせました。
そして「冷蔵子」は普通の「冷蔵庫」に戻りました。
技師さんが帰った後、ついクセで「直って良かったね」と話しかけても何も言いません。
聞こえるのは「ヴゥ……ン」という静かなモーター音だけ。キッチンが、やけに広く感じる。
もうヘリの離陸音も洗濯機の音も夜中に起こされることも出かける時に泣くこともなくなりました。当然、帰宅しても静かです。
望んでいた静寂なんだけどね。
それが、ちょっとだけ寂しくて。
なにコレ。
子供が独立した後、子供部屋に入った親ってこんな気持ちなのかな.
そうそう、冷蔵庫が直って変わったことと言えば。
僕の冷蔵庫の扉の開け閉めがものすごく短時間になった事と、冷たいモノを取り出す時に
「いつも冷やしてくれて、ありがとうね」
と、心の中でお礼を言うようになりましたとさ。
冷蔵庫に名前をつけた一週間。
僕と冷蔵子の、ちょっとだけいい話でした。















