この話するの、自慢になっちゃうかな。
モテ自慢になっちゃうかな。

言ってしまえば、ナンパされた話なんですけどね。

昨晩、突然声をかけられたんです。

40代くらいの男性に。

横浜駅のトイレで。

用を足してる最中に。

人生には色々な出会いがありますが、この出会い方は想定していませんでした。

「あぁ、いい匂い! おにいさん、これ何の匂い?」

だって。

トイレの匂いに決まってるだろ。

男性ならわかると思うんですけど、用を足してる最中に初対面の人と会話するのって、かなり難易度高くないですか?

相手は僕の横の便器で用を足しながら話を続けています。
顔は真っ赤で足元はフラフラ。絵に描いたような酔っ払いでした。

絡まれるのも面倒なので「なんの匂いですかねー」なんて流していたら、僕の顔をじっと見て

「ん? 日本人? ハーフっぽい顔しているね」

なんて言うんですよ。

顔をじっくり見られるには最悪のタイミング。

「日本人ですよー」

「何のお仕事してるの?」

「色んな仕事をしています」

「ハーフ?」

「日本人」

「お仕事は?」

「いろんなの」

「ほんと日本語うまいね。ハーフ?」

「日本人」

あれ?

無限ループ?

こんなに不毛なこともないので、急いで手を洗って

「ありがとうございましたー」

と言ってトイレを出ました。

何に対するお礼なのか自分でもわからなかったけど。

ようやく解放された。そう思った次の瞬間、トイレの中から男性の大きな声が響いたんです。

「おにいさーーん! これ、何の匂い?」

だからトイレの匂いだろ。