人は時々、神様から試練を与えられ、それを乗り越えることで成長すると言われます。
そして今日、僕にも──「これ、もしかして試練じゃね?」と思うような出来事がありました。
すれ違いざまに、見知らぬ男性から舌打ちをされたんですよ。
背後から「チッ」という明確な舌打ちが二回。直後に「クソガキが」という言葉が聞こえたんです。
振り返ると、50代後半くらいの男性が足早に去っていくところ。道を譲らなかったわけでも、ぶつかったわけでもない。ただすれ違っただけ。
なんだったんだ、今の。
理不尽な出来事に、さすがに少しムカつきました。いや、正直けっこうムカついた。
「クソガキ」って単語、久しぶりに聞きましたからね。
この出来事が一日中引っかかって、家に帰るまでずっとモヤモヤ・イライラしてすごく嫌な気分だったんですけど、ふと閃いたんですよ。
これは神様がくれた試練じゃないか、と。
この出来事をポジティブに変換できれば、僕は人として一つ成長したことになる。
そう考えて、改めて振り返ってみたんです。
───「クソガキ」って言われた。
でも僕、もうとっくに「ガキ」と呼ばれる年齢じゃないんですよね。立派な中年。それなのに「クソガキ」と。
ということは、あの男性の目には
僕が若く見えた
ってことじゃないですか。
それって「クソガキ」は
「お若いですね」とほぼ同義
ってことじゃないですか。
もしかして、あの男性はめっちゃ早口でこう言ったのかもしれません。
「クソー、羨ましい! ガキみたいにお若い! アンチエイジングっていうんですか!? もしよろしければ、若さの秘訣を教えていただきたいのですが」
で、自分の発言に恥ずかしくなって逃げた、と。
あの人はものすごい照れ屋だったのかもしれませんね。いや、むしろ純粋な人だったのかも。緊張のあまり、つい「ガキ」なんて言葉が出ちゃったんでしょう。本当は「少年」って言いたかったんだと思います。
そう考えたら、なんだか嬉しくなってきて。
コンビニのガラスに映る自分をチラッと見てみたんです。
うん、まぁ、同年代よりは若く見える…かな?
結論としては、今日は「理不尽に罵倒された日」なんかじゃなくて、
「唐突に若さを褒められた日」
だったんですよ。
よし。ポジティブに変換できたぞ!
今度また誰かに「クソガキ」って言われたら、その時はちゃんと「ありがとうございます」って返そうっと。
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……いや、やっぱ罵倒だわ、あれ。
すげームカつく。
【今日の試練結果】
成長できなかった。
















