覚えていますか?初めて自転車に乗れた日のことを。
初めて口笛を吹けた日のことは?
初めて卵を割れた日、初めて自分の名前を漢字で書けた日、初めてストIIで昇龍拳のコマンドを決められた日……
新しい何かが出来るようになった、あの特別な日のことを覚えていますか?
あの日はどうしようもなく嬉しくて、世界がほんの少し明るく見えませんでしたか?
空気がいつもより澄んで、なんだか温かい気がしませんでしたか?
そしてこう思いませんでしたか?
「この世界も、なかなか楽しいじゃん」
って。
自分が新しい一歩を踏み出すだけで見える世界が変わるのって不思議ですよね。世界自体は何も変わっていないのに、景色も、温度も、匂いすらも違って感じられる。
だから「この世界は退屈だな」と感じたら、世界が変わるのを待つんじゃなく自分から小さな一歩を踏み出したらどうかなって、僕は思うんです。
だって、世界を大きく変えるよりも自分を少しだけ変える方がカンタンじゃないですか。
別に『大きく変われ』とか『大きく成長しろ』というワケではありません。
周りから見れば気づかないレベルでいいんです。
本人にしかわからないような、ほんの小さな一歩でいいんです。
他人から見れば「なんだ、そんなことか」と笑われるかもしれません。でも『そんなこと』と思えるほどの小さな一歩が、僕たちにとっては世界の見方を変える意味を持つことだってあるんですよ。
だけど新しい一歩を踏み出そうとしても、大人になるとほとんどのことが出来るようになっているから『新しい何かができるようになる機会』が減っているのが現実じゃないですか。
毎日が出来ることばかりの繰り返し。昨日と同じような今日。そしてその延長線のような明日、来週、来年、その先もずっと……
そうすると日常が、世界が単調に感じることがあるんです。まるで古い写真のように色が抜け落ちたみたいに思える時があるんですよね。
だから僕は、そんな人たちにダンスを教えたいんです。
「なんか面白いことないかなぁ」って思ってるみんなに、ダンスを教えたい。
別に「ダンスって面白いでしょ!」と伝えたいわけじゃありません。
ダンスを通じて、何か新しい動きが出来るようになる度に「ね、あなたの可能性って面白いでしょ?」「昨日より今日の自分、ちょっとすごくない?」と教えたいんです。
そして、その人の目をキラキラさせたい。
初めて自転車に乗れたあの日のように、その目を輝かせたいんです。
「万里さんは、なぜそこまでみんなに尽くすの?」「聖フランシスコの『平和の祈り』を体現してるの?」
そんな疑問を抱く人もいるかもしれませんが、僕の仕事も慈善事業じゃありません。これ、僕自身のためにやっているんですよ。
だってね。
あなたが嬉しいと、僕も嬉しいんです。
あなたの目がキラキラしてると、僕の目もキラキラしちゃう。
僕の日常がどんなに忙しくても、理不尽な出来事に巻き込まれても、土砂降りのような悲しみに襲われても、世界から色が失われるような事件があったとしても、
あなたが楽しそうにしている姿を見るだけで、世界がほんの少しだけ明るく見えるんです。
他人から見れば「なんだ、そんなこと」って思われるかもしれませんよね。
でも『そんなこと』が、
あなたの笑顔が、
僕にとっては世界の見方を変える意味を持つんですよ。
そしてあなたのキラキラ輝く目を見るたび、こう思うんです。
「この世界も、なかなか楽しいじゃん」
って。