今日はあなたにお盆にぴったりのお話をしますね。
と言っても怪談ではありません。安心してください。
こないだの水曜日、会員さんとペットの話になったんですよ。
会員さんのペットの名前は『リーちゃん』という可愛いメス猫。いわゆる押しかけ猫でした。※押しかけ猫:「飼って!」と人間にアプローチしてくるノラ猫のこと。
保護して動物病院に連れて行った時点で13歳くらいの高齢。3ヶ月ほど一緒に暮らした後、天寿を全うしたそうです。
「リーちゃんはね、最初ガリガリだったけど最後はマルマルしていたのよ」「尻尾が可愛いの、すっごく」「たった3ヶ月だったけど、あの子にとったら1年分くらいの幸せだったと思うの」
思い出話をする会員さんの目を見ていると、2人がどのように過ごしていたのかを簡単に想像できました。
その目はすごく綺麗で、優しくて。
きっと生まれた時からの家族のように毎日たくさん笑い、そして別れの時はいっぱい泣いたのでしょう。
さよならの言葉も出せないほどの悲しみに胸を締め付けられながら。
そして話を聞きながら思ったんです。
リーちゃんは13年かけて会員さんに出会ったんだ。
全てはこの人と家族になる3ヶ月のため、13年間ガリガリになっても諦めずに頑張って生きてきたんだ。
一緒に過ごした時間はリーちゃんの人生で最も幸せだったに違いない。
って。
リーちゃんにとって、会員さんの元で過ごした3ヶ月の幸せの価値は1年分どころじゃなかったはず。きっと13年と3ヶ月分の幸せだったでしょう。
そして会員さんにとって一緒に過ごした3ヶ月の幸せの価値はそれ以上。だってリーちゃんを思い出すたび、これからも生涯ずっと目がキラキラと優しく輝くのですから。
小さな家族は人間からしたらあまりにも短い時間しか生きられません。
しかし共に過ごした時間は僕たちの一生の思い出になります。たとえそれがどんなに短くても。
会員さんとリーちゃんが過ごした時間はたったの3ヶ月。しかし確実にお互いの人生で最も濃密な3ヶ月でした。
時間だけでは測れない価値がそこにはあるのです。
もうすぐお盆。
会員さんの元にリーちゃんが帰ってくるでしょう。
僕の元にも大好きな子たちが帰ってきます。
そしてあなたの元にも、小さな家族が帰ってくるのです。
この時期はあの子の思い出話だけでなく、名前を声に出して呼んでみるのもいいかもしれません。
僕たちには見えないれど、あの頃みたいに喜んでくれてるに違いありませんから。
生涯のほとんどをかけて飼い主を見つけた猫と、残りの生涯をかけてその猫を思い出す飼い主のお話。
ね、お盆にぴったりのお話でしょう?
このお話で、あなたがいつもよりチョットだけ、小さな家族と過ごした時間を鮮明に思い出してくれると嬉しいです。
それでは、良いお盆を。