右足首が慢性的な腱炎のため、先月から整形外科で週1回の衝撃波治療(ESWT)を始めました。
衝撃波治療とは名前の通り、痛みを感じている患部に2,000発もの衝撃波を当て続けて治すという
マッドサイエンティストが拷問の最中に偶然見つけたような治療法
なんですけど、これがもう痛いのなんの。
初回は理学療法士さんに「これから患部周辺に衝撃波を当てます。痛すぎたら言ってください」と説明をうけ、さすがに痛すぎる部位は避けてくれるんだなって納得して「そこ!そこ泣くほど痛いです!」と伝えたら
「じゃあここに2,000発当てましょう」
と耳を疑うような返しをされて本当に泣きました。鬼畜か。
でも、その後は患部の慢性的だった痛みが和らいで歩くのも随分ラクになったんです。
そのことを2回目の治療中に理学療法士さんに話すと
「施術中に喋れる余裕があるなら強度レベルを上げましょうか」
と、再び耳を疑う返しをされてやっぱり泣きました。鬼畜だ。
だけども、これまた施術直後からビックリするくらい足が軽くなってて。
「痛みに慣れてきたら、可能な限り強度レベルを上げた方が効果あるんですよ」
と説明してもらいました。
そして先週の金曜日。3回目の治療中のこと。
「万里さん、痛みはどうですか?」
患部に衝撃波を当てながら聞く理学療法士さん。
「今日はそれほど痛くはありません」
痛みを感じないワケではありませんが、なんとか我慢できるレベル。今回は泣かずに済みそうです。
「良い傾向ですね。今はレベル5でMAXが6なんですが、(MAXまで)上げますか?」
ーーー痛みに慣れてきたら、可能な限り強度レベルを上げた方が効果あるんですよーーー
先週言われた言葉が頭の中でリフレインのように蘇りました。
早く治るならレベルを上げたいけど、痛みに耐えられる自信はありません。
失神するか、最悪は
失禁
すらありえます。
「残り500発。やりますか?」
500発ならギリギリ耐えられるかも。その言葉で覚悟を決めました。
「やります。でも僕が『下げて!』と言ったら即座にレベルを下げてください」
わかりました、と頷いてマシンのダイアルをMAXにする理学療法士さん。
ヴゥンと低い音を立てる治療器。
同時に叫ぶ僕。
想像以上に痛くて治療ベッドから飛び上がりました。
こんなの絶対ムリだって。この痛みを500発も耐えられない。耐えられるワケない。
激痛で上手く喋れないため、理学療法士さんの目を見ながらプルプルと首を小さく横に振って『ムリです』アピールをすると、理学療法士さんは真剣な眼差しで答えました。
「安心して任せてください!」
別に不安で震えてるワケじゃないからね。
「ム……ムリ」
ジェスチャーでは伝わらないので、なんとか声を絞り出しました。聞こえるかどうかの小声だけどこの状況ならきっと伝わるはず。
「うーん、私はモンブランの方が好きですね」
なんでこの状況でスイーツの話してると思ったんだオマエ。
「レベルを……下げて……くださいぃ……」
今度は聞き取りやすいよう、ゆっくりとハッキリ言いました。
「いや、このままいきましょう!」
聞き取れてるけど約束が違う。
「まじムリ……です……痛すぎて……漏らしそうだから……下げて……」
あまりに痛すぎて懇願しました。たぶん涙声だったと思います。
「たしかに、美味しいモンブランって最近は減りましたよね」
だからなんでこの状況でスイーツの話題なんだよ。
モンブランから離れろよ。
カンカンカンカーン。
朦朧とする意識の中、頭の中では試合終了のゴングが鳴り響いていました。
***
「はい、お疲れ様でしたー」
無事(?)500発終わった頃、治療ベッドの枕にはしっかり涙の跡がついていました。
どうやら今回も泣いたようですね。
てことは三連敗か。
それでも僕は、失禁しなかった自分を褒めてあげようと思ったのです。