実家には大河(タイガ)という名の15歳になる老ネコがいるんですが、大河の写真(このブログの写真)を見た人はよく『イケメンね』と褒めてくれます。
愛猫家として猫が褒められることほど嬉しいことはありません。
本当にありがとうございます。
だけどね、今日は皆んなに言いたい。
声を大にして言いたい。
大河はメスでレディで美人さんだ。
でもまぁ【大河(タイガ)】なんて名前だと普通はオスだと思うし、というか僕も初めはこの子をオスだと思っていたし。
今回はそんな大河との出会い、そして名前の由来を皆さんにお話しして彼女の魅力を伝えようと思います。
ーー大河との出会いは15年前。
あれはみぞれ混じりの雨が降る寒い深夜でした。
練習の帰りに大きな川に架かる橋の下を通りかかると、どこからかニャーニャーと可愛らしい鳴き声が聞こえてきたんです。
『お!この声は子猫だな!』と思い軽い気持ちで声のする方に歩いて行ったら橋のたもとに段ボール箱があり、明らかに鳴き声はその中からするんですよ。
段ボールを開けなくてもわかりました。
これ絶対に捨てネコのパターンです。
ドキドキして開けたら予想通り大きめと小さめの茶トラが2匹。
そして段ボールの内側に『拾ってください』と書いてありました。
【冷たい雨の降る夜】
【橋のたもと】
【中には弱々しい子猫】
【拾ってくださいと書かれた段ボール】
ーー完璧な『ザ・捨て猫』でした。
ここまで完璧な捨て猫見たことありません。
大きめの子猫を抱き上げて「どうしたのー?(正確には『ドチタンデチュカー』だったかもしれません)」と言おうとしたら「シャーーッ!」とすげぇ威嚇されました。
なにあの可愛い鳴き声はサギ的なやつだったの?
僕の予想した展開と全然違ったのでとりあえず子猫の、そして僕の気持ちを落ち着かせるため一旦箱に戻しました。
『ごめんねごめんねごめんね』とめちゃくちゃ謝りながら。
成人男性が初対面の捨て猫(子猫)にはなかなか言わないセリフですよね。
気を取り直して小さめの子猫を恐る恐る抱き上げたらコイツは大人しくてゴロゴロ鳴いてました。
「そうだよこれが普通の捨て猫のリアクションだよ」と安心していたら僕の足元に違和感が。
最初に抱き上げた大きめの子が「シャーッ!」と威嚇しながらズボンをよじ登って来るんです。
抱っこしてもしなくてもどっちみちキレんのかよお前。
正直言ってこの子猫に対して恐怖すら感じましたね。
しかしこの子はきっと今僕が抱いてる幼い兄弟を助けようとしてるのでしょう。
「自分だってまだ小さいくせになんて勇気があるんだ!」と感動したのも束の間、腰あたりまで登って来たところで今度はパーカーのポケットに潜り込んで熟睡し始めたんです。
コイツ睡魔の誘惑に負けたんですね。
お腹で寝ている子をどうしようか迷っていたら雨はいつのまにか雪に変わっていました。
そこで覚悟を決めてもう1匹の子猫(小)もポケットに入れて子猫達を家に連れて帰ることにしたんです。
「この寒空の下、ずっと小さい箱の中で泣いてたんだもんな。そりゃポケットの中が暖かくて寝ちゃうか。
よし、大きめの子の名前は大河(タイガ)にしよう!
トラ柄だし、大きな川の近くで拾ったし何よりトラのように勇敢だし。きっと凛々しくて強いオス猫になるぞ!
小さい子は虎鉄(コテツ)だ!」
ポケットの中でスヤスヤ眠る2匹の子猫を起こさないよう、静かに歩きながら考えて名前をつけたんです。
✳︎
それから数日後、虎鉄は僕の知り合いに【シノ】と名付けられて引き取られました。
さて、残ったのはこの勇敢な大河君。
とりあえず去勢手術しようと動物病院に連れて行き、獣医さんに大河を見せたら「うーん、この子は切れないよ」と言われ、何か重大な疾患があるのかと思い獣医さんに問い詰めると『アレが付いてないんだよ。この子メスだよ』と衝撃の事実を明かされました。
「思い込みですごく男らしい名前つけてしまったけど、まだ上書きが可能かもしれない」そう思い何個か女の子らしい名前で呼んでみたんです。
『トラミちゃーん?』
→無視
『チャトラーン?』
→無視
『大河?』
→ナーーン
『大河ちゃん?』
→ナーーーーン
…そうです。
大河でしか反応しなくなっていたんです。
「お前女の子だったのにゴメンよ」
悪いと思い大河の頭撫でようとしたら「シャーーッッッ!」と威嚇しながら手を噛まれました。
甘噛みとか生易しいヤツじゃなくて捕食っぽい感じで。
僕のトラっぽいという第一印象は正解だったようです。
小さい牙で僕の手をガジガジと噛む大河を見ながら「本当にメスなのか?」と疑問に思いましたが、その後彼女はその名に恥じない凛々しくてカッコ良くて武闘派な性格に育ったんですがそれはまた別のお話…
…これが僕と大河の出会いと名前の由来です。
こないだ実家に行ったら相変わらず「シャーッ!」とキレていたので「大河さんは昔から相変わらず手負いのトラのようだ」と思ったのでこのブログを書きました。
彼女の魅力が少しでも皆さんに伝わると嬉しいです。
